「くちなし」
君が思っているよりも 君は愛されていたことを
出かけてしまった君には わからないんだね。
昨日降っていた大雨は 知らないうちにやんでいたよ。
昨日泣いていた人は さっきも泣いていたけれど
寂しいよ 君が留守にしている街で
僕たちは飽きてゆく季節を生きていく。
朝玄関をあけたら くちなしの香りがしてきたよ。
ぶっきらぼうな僕も 花が好きになってきたみたい。
君が出かけてしまった理由を 結局誰もわからなかったけど
いつかみんなで会えるときに 酒でも飲んで話してよ。
つまらないよ 君が留守にしている街は
波の音がやさしく歌ってるみたいで
寂しいよ 君が留守にしている街で
僕たちは進まない季節を越えていく。